歯周病初期治療

細菌性沈着物の悪影響

歯周ポケット内にプラークや歯石などの細菌性沈着物が付着していると 歯肉は炎症を起こし腫れ、赤みを帯び、歯ブラシやデンタルフロスで 出血します。また、細菌感染が進むと歯周組織と歯槽骨が破戒され、歯周ポケットが深くなり深くなったポケットには歯石がたまります。

歯石は軽石のように多孔性であるため、放置すれば細菌の繁殖スペースとなります。 プラークは歯ブラシやデンタルフロスでの除去が可能で すが、 歯石は一度付着すると歯ブラシやデンタルフロスでの除去は不可能です。歯科医院での専門の道具を用いた除去が必要となります。

歯肉辺縁の歯石除去

歯周ポケット内に付着するプラークは超音波スケーラー等で除去します。先端につけたチップを振動させてプラークや歯石を除去します。先 端のチップは、毎秒2500 ~ 3000 サイクルで超音波振動します。振動により発熱するため、水を出しながら使用します。

先端につけるチップは数種類あり、それぞれに角度や太さなどが異なります。その中から、最も適した形状の器具を使用します。

多量のプラークや歯石を除去することに優れています。

歯肉辺縁のスケーリング後

超音波スケーラー等で表面のプラークや歯石が除去された状態です。治療を開始する以前と比較すると、歯周ポケット内に対する歯ブラシや デンタルフロスでのプラークコントロールが可能になりました。

まだこの状態では歯周ポケット内に歯石が残っているため深部まで歯ブラシの毛先を入れることは不可能ですが、歯周ポケットに対するブ ラッシングが治療以前に比べ可能となっています。

この段階で、歯周病に対する専門的な口腔ケア方法についてご指導し、ご自宅にて実践して頂きます。

歯肉辺縁の歯石除去後のブラッシング実践後

ご自宅にて歯周病に対する口腔ケアを実践して頂いた状態です。歯周ポケット内には歯石がまだ沈着していますが、 口腔ケア実践以前と比較 すると歯肉の違いを見る事ができます。

歯肉の炎症が治まることで腫れや出血が少なくなっています。 また、炎症が治まってくる事で、歯肉が引き締まり、歯周ポケットの深さも個々 の差はありますが浅くなっています。歯肉の色も、赤みが落ち着いています。

歯周ポケット内のルートプレーニング

この段階では、歯周ポケット底までの治療を行う必要があるため歯周ポケットが深い場合は麻酔を行った上で治療を進めます。

歯根形態は様々で、個々に適切な器具を用いて治療を進めるため1本の歯に数種類の器具を用います。特に、臼歯を治療するためには、3 ~ 6 種類の器具を使用することもあります。 記の器具を用いて歯周病の原因である歯周ポケット内の歯石やプラーク(細菌性沈着物)を除去し、 粗造な歯根面を滑拓にします。( 歯科用語ではルートプレーニングといいます。)

1回約1時間の治療時間で、歯周病の進行度に応じて、数回~十数回の治療時間を要します。

ルートプレーニング後のブラッシング指導

ルートプレーニング後、歯周ポケット底まで可及的に届く歯ブラシを選択し、どのように口腔ケアを行えばよいか再度、専門的な指導を受け て頂きます。

指導後に、ご自宅にて適切な口腔ケアを実践して頂き、1週間以上経過後に口腔内の状態を確認し、また新たに口腔ケア方法のご指導などを 行います。歯周ポケットを健全な状態へ近づけるために日々、歯ブラシやデンタルフロスでのプラークコントロールを続けて頂きます。

初期治療終了

スケーリングやルートプレーニング、ご自宅でのブラッシングなどを適切に行っていただいた状態です。

治療を始める以前と比較すると、歯肉や歯周ポケットの状態は大幅に改善されています。歯周病の原因である、歯石やプラーク(細菌性沈着 物)を除去し、適切なブラッシングが施されたため、歯肉の炎症が治まっています。歯肉の色は赤から健康的なピンク色になり、歯周ポケッ トの深さを健全で自己コントロールしやすい範囲の深さ(3mm)を目標にします。

目標が達成された場合は歯肉の炎症が治まり、歯ブラシやデンタルフロスを使用しても 出血がなくなります。

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